8T8
オッタ・ティル・オッタ
2013-06-04
『食』について考えるミーティングスポット
オーガニックフード、そして最近ではローフードなどへの関心が高いスウェーデン。ストックホルムでもオーガニックプロダクトを扱うお店は多くありますが、その中でも独自の個性が光るお店、それがこの8T8（オッタ・ティル・オッタ／8 to 8の意味）です。
オーナーのカロリーン（Caroline）がセーデルマルム（Södermalm）のマリアトリエット（Mariatorget）に8T8をオープンさせたのは２０１１年の１０月のことでした。それまで他の食料品店で働いていた彼女が自身のお店をオープンさせるにあたりこだわったのが、まず『良い商品を提供すること』。これは８T8が看板にも掲げている『Medveten Mat』。Medveten Matは直訳すると『意識の高い食べ物』。カロリーンの説明によると「怪しい添加物などを使用していない本物のナチュラルなそしてできればオーガニックな食べ物。地産地消の考えに基づいてスウェーデン産の物を積極的に取り扱っているの。そしてなによりもおいしく、高品質な食べ物」とのこと。
このMedveten Matに続く8T8のこだわりはランチタイムのヌードルバー（Nudelbaren）。ヌードルバーではまず、スープスタイルかサラダスタイルかを選び、メインの具を２種類の中から選ぶことができます。メニューは日替わりで、この日わたしたちが頂いたのはスープヌードル。メインの具にサーモンの薫製をチョイスしたコチュジャンスープの蕎麦に、オーブンでグリルしたズッキーニとパースニップ、たっぷりのフレッシュな青梗菜やスプラウト添え。この蕎麦にはゴマが入ったヨーグルト系のちょっと甘いディップソースがついており、サーモンにつけて食べるとコチュジャンの辛さがやわらぎます。このヌードルバー、アジアテイストをベースに8T8オリジナルのスタイルでメニューを展開しており、日本人には不思議に感じる味や素材の組み合わせもありますが、わたしたちには思いつかないような意外なおいしさを発見することもできます。「パッケージングされた商品が並ぶだけのお店ではなく、食べ物のおいしい匂いが漂うお店にしたかったの。」とカロリーンが話してくれたように、ヌードルの匂いだけでなくキッチンで料理をする音、ランチを食べる人たちの話し声が生き生きとしたお店の雰囲気を作りだしています。
そして、8T8で最も重要だともいえるこだわりは『知識の豊富なスタッフ』。「現代は情報が溢れているけれど何を信じていいのか分からないことも多いでしょ？このお店に来られるお客さまの質問に的確に答えられるような、お客さまに新しいインスピレーションを与えられるようなスタッフの存在がとても重要なのよ。」とカロリーンは何度も繰り返して語ってくれました。その言葉通り、お店の雰囲気はとてもリラックスしており、スタッフにも気軽に声をかけるお客さんの姿も多く見られました。「買い物をするだけではなく食について語ることの出来るみんなのミーティングスポットになって欲しい」という理想に向けてオーガニックフードやローフードについての知識を広めるため、ワークショップや講習なども開かれています。
小さな店内はたくさんの商品で溢れており、それらを１つずつ見ていくだけでも十分楽しめます。スウェーデン産のハチミツ、手作りのルバーブや黒スグリのジュース、ダーラナに工房のあるGrangärde Musteriのサフト、スウェーデン北部イェムトランドのÖrtagård Östのドライベリーやサフト、こちらもイェムトランドにあるSkogens Sköna Grönaのもみの木に似たオウシュウトウヒのシロップ、スムージーやお菓子作りに使える8T8オリジナルの乾燥ベリーパウダーなどスウェーデンの森の恵みをはじめ、チーズやヨーグルトなどの乳製品、白樺オイル、醤油などの調味料、生ハム、手作りソーセージと、多彩な商品が並びます。お菓子コーナーにはパーランス・コンフェクティールのキャラメルも。コーヒーはこの8T8の近くにある、おいしいドリップコーヒーのお店、DROP COFFEEのもの。テイクアウト用の商品も揃っており、新しく始まった試みの「ローフード・ブレックファースト」のコーナーにはゆで卵、自家製サンドウィッチ、ヤギのヨーグルト、スムージーなどがあります。そしてL:A BRUKETやSALVIDERM NATURLIGT VISなどのスウェーデンのオーガニック・ボディケア商品も充実しています。
この数ある商品の中からカロリーンのお気に入りを紹介してもらいました。ひとつはスウェーデンの北部ラップランドに位置するヴェステルボッテン在住の女性が作るスプレッド、Sorseliansk Pesto。これはスウェーデンのザワークラウト、アーモンド、ヴェステルボッテン・チーズなどを使っており、パンに塗ったり、クレーム・フレッシュと混ぜてお肉やお魚のソースにも。もう１つのおすすめはイタリア産のサフラン・ハニー。こちらはアカシアはちみつにサフランが漬け込まれており、パルメザンなど塩気の強いチーズと合わせると最高だそうです。
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その他にも8T8では新鮮な野菜や卵も販売しています。野菜はスウェーデンの旬の野菜を取り扱っているため「冬場には野菜売り場が根菜ばかりになっちゃうのよ。」とカロリーンは笑って話してくれました。「お客さんに冬に『トマトはないの？』とか聞かれるんだけど、野菜には旬があること、トマトは夏野菜だということ、を伝えるの。こういうやり取りから、みんなに食に関しての知識と興味を持ってもらいたいわね。」
この日、店頭に並んでいた土付きのキクイモはストックホルム市内ロングホルメン（Långholmen）で作られたもの。生産者が直接お店に納品しておりまさに新鮮そのもの。意外にもスウェーデン人は日本人に比べ野菜や果物の旬に疎く、食べ物の生産地などへの関心も薄いように感じます。その中でお店のスタッフにいろいろ聞きながらお買い物ができる8T8の更なる活躍を期待します。
プライス
ヌードルバー（ヌードルサラダ／スープヌードル）
イートイン 95クローナ
テイクアウト 90クローナ
コーヒー 25クローナ
紅茶 20クローナ
ストックホルムのスムルトロンステッレ
by カロリーン
Lima Deli（SOFOにあるデリ）
StikkiNikki（アイスクリームショップ）
Snickarbacken 7（カフェ、セレクトショップ）
